トランクションコントロール
トラクションコントロール3次元マップ
LANZAに搭載された「トラクション・コントロール・システム」とは、フューエルタンク
下に搭載された8ビットマイコンがエンジン回転上昇率の変化を常にチェックして、
急激な加速によるリアホイールの過度な空転などが置きにくいように点火時期を制御する画期的なシステムである。
点火時期制御にはエンジン回転加速度、エンジン回転数、点火時期に応じた
3次元の点火マップ(図参照)を設定、急激な加速によるリアホイールの過度な空転(スピン状態)が
起こった場合に点火時期を遅くして有効なトラクションを回復すると言うオフローダーにはありがたいシステムで、
ワークスYZMが実践でトライ したこともある。
特にマッド路面やツルツルの赤土路面、サンドコースなどで絶大なる効果を発揮
してくれる。また開発にあたっては、路面状況に合わせた適度なトラクションを得る
事を目的とし、加えてライダーの感性を加味した独自の点火マップを演出。
過度なスリップでのコントロール性を向上させてくれると共に、
トラクションを効かせる際の急激なパワー変化を感じさせないように絶妙な味付けがなされている。
滑りやすい赤土や砂の浮いた路面も多い林道区間のキープレフトが容易である
と共に、滑りやすい急坂の上りでも威力を発揮してくれる。
ヤマハLANZAプロジェクトチーム曰く
1:成り立ち LANZAのトラクションコントロール(以下T・C・)は、 リアタイヤがスリップする事を極力抑えトラクションし続ける目的で設定された4輪やロード用のT・C・とは異なり オフロード車に乗る楽しさの一部「パワースライド」をより楽しめる味付けに設定されている。 サスペンションストロークやタイヤ回転数を検知して、 とにかく路面のグリップを失わないようにするものでは無い。 2:構成部品 LANZAのトラクションコントロールは点火時期を変化させてエンジンパワーをコントロールする制御システムで、 その構成部品はエンジン回転数を検知するためのCDIマグネトーと パルサーコイル、そして演算処理を行なうCDIユニット、 点火のためのイグニッションコイルとスパークコイルの5点だけです。 したがってCDIユニットの中身、プログラミングされた点火時期マップに秘密がある。 3:考え方 車の場合などは前後ホイールの回転差を読みとって、その差が大きいくなった場合に出力を制御すると いう方法を取っていますが、LANZAの場合はエンジン回転加速度(時間辺りのエンジン回転数の上昇速度) によってグリップを失った状態を判断しているのです。 つまりトラクションしている場合の回転速度をデータとして蓄積し、それを越える回転速度を示したときに、 トラクションを失ったと考えることが出来る。 4:点火のコントロール 回転域では3,000〜8,000回転の範囲になります。 3,000回転以下でトラクションを失うとするとほぼスタートの時に限られますが、 ダートではある程度タイヤがスリップしないと逆に素早いスタートがしにくくなるという状況がありますし、 8,000回転以上ではT・C・が必要なほど急激に回転速度が上昇することはないからです。
5:味付け グラフ上の概念でコントロールしようという発想はありませんでした。 あくまで実走テストによるトライ&エラーで決定した制御マップです。 通常の点火時期の設定では、エンジン回転数の上昇に伴って進角させるものなのですが、 T・C・によって設定したのは遅角させる前に進角させることに意味があります。 それはT・C・を作動させることでパワーが落ち込んでいるように感じさせてしまったら、 ライダーにとっては面白くないからで、苦労した<味付け>の部分でもあります。 T・C・のための3次元マップを見ていただきたいのですが、点火時期とエンジン回転数、 そしてエンジン回転加速度を軸にしています。 白い部分が通常の点火時期の設定で、山の頂上部のピンクの部分が制御しながらも出力の落ち込みを 感じさせないための工夫した<味付け>部分、そして青の部分がトラクションを得るための制御部分です。 これを見ると通常の点火時期の変化と比較して、エンジン回転加速度によってかなり制御していることが判ります。 トラクションを得るためだけなら<味付け>部分は不要なのですが、ここがないとパワフル感が無くなってしまうのです。